制作ステップ

大学の講義で用いた郷土かるた作りの基本ステップを紹介します。


【Step1】文献や資料、ネット等を用いて題材設定


*過去から現在にかけての地域の姿を郷土かるたとして、どのような題材がふさわしいか、題材種別ごとにグループを作って文献や各種資料を用いながら決定します。

【Step2】 現地調査(フィールドワーク)


*地域学習や地域教材の開発にとって必要不可欠なのがフィールドワーク。現地の空気を吸い、ゆかりのある方々に話を聞く。題材によっては不可能なものもありますが、このStepは自分の五感を使って事象を正しく捉えるとともに、自己と他者(地域)との対話を生み出します。
*現地調査をすると、文字資料(二次元)で捉えていた題材が、立体的に活き活きとした存在になり(三次元)、やがて時間を超えた親密さを持つ存在(四次元?!)に変化していきます。
*学生たちには「“時間的・歴史的観点“、“空間的・地理的観点”、“社会的・文化的観点”から題材と向き合ってくること」、そして「これまでどこにも書かれていない、だれにも知られていないような、自分たちだけの発見もしてくること!」と注文を出します。

【Step3】 調査報告会


*各自・各グループによって持ち帰られた題材は、札作りに入る前に全員でシェアをします。それぞれが持ち帰った「お宝」を発表することで、全員で知識を共有し、自分にはないものの見方、感じ方も広げていきます。もちろんプレゼンテーション能力も必要になります。
*今でも想い出すのは、「上毛大橋」について県庁の担当者から聞き取り調査した学生のプレゼン。工事の際に「プロジェクトX」のような苦労や工夫があったことを披露し、感極まって泣き出してしまいました。プレゼンを聞いていた学生たちは静寂な感動に包まれました。当事者の真剣な想い、熱い気持ちに触れることは、地域への深い関心を引き出します。

【Step4】 札作り(絵札、読み札、解説文)


*各自担当する札を決め、責任を持って一対のかるたを仕上げていきます。 札作りのコツは日本郷土かるた研究会編『郷土かるたハンドブック』内に掲載してありますので、ここでは省略します。
*原口が使用しているのは百人一首サイズの画仙紙です。1枚50円かかりますが、「本物の札で作るよ」と言って渡すと、緊張と気合い上々になります。もちろん出来映えはGOOD!縮小カラー印刷すれば、そのまま売り物になりそうな秀逸さです。やっぱりせっかく作るのだから美しくなくっちゃね♪(※最近はかるた用の白札を使うこともあります。便利です!)
【STEP5】完成&記念かるた大会


*講義ではかるたを完成させるだけでなく、実際に遊んでみて、その面白さを体験してもらいます。
*札をカラーコピーして数組のかるたを作り、グループ対抗トーナメント戦等を行います。
*大会が始まるやいなや、学生達の目は輝き、アイコンタクトで笑顔を交わし、大歓声が周りの講義室まで響きます。このとき「かるたの力ってやぱりすごいな」と感じます。最後のかるた大会の盛り上がりはメンバー同士のコミュニティビルディングができたと手応えを感じられる瞬間です。

 

2016年02月15日